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TRAVEL-TSUBOI-ARCHITECT&ASSOCIATES
ユバスキュラ
 首都ヘルシンキから270km離れた街ユヴァスキュラにやってきた。

街の規模はそれほど大きくはないものの、ユヴァスキュラ大学をはじめ、
さまざまな教育施設や文化施設が数多く点在し、街の機能がとても充実している。

建築家のアルヴァ・アアルトが一時期このユバスキュラを拠点として活動し、
建築家として確固たる地位を築いたことでも有名だ。

イマトラから列車に乗ってユバスキュラ駅に到着。
駅に降りてみてビックリ。ものすごくモダンな駅舎だ。
まずは生活の拠点になるユースホルテルへと向かう。

昨日電話でユースホステルの個室を予約しておいた。
最近は2〜3日先の予約をとるのに一苦労している・・。
(相部屋も慣れてきたけど、やはり個室のほうが落ち着きます・・・^^)

今日のユースホステルは白いレンガ積みの建物で、断熱がしっかりしているせいか
室内がとてもあたたかい。個室は少し狭いけれど、2人で休むには問題なさそうだ。

夜再び外出し、観光案内所で街の地図を手に入れて夕食を買ってユースに戻る。
夕食を食べながら明日からの行動予定を吟味する。こういう時間はなかなか楽しい。

明日はアアルトの名作ユヴァスキュラの市役所とユバスキュラ大学に行くことを決める。
今からとても楽しみだ。

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ユヴァスキュラ駅はとてもモダンな建物です。
ユヴァスキュラユース2.jpgユバスキュラユース1.jpg
ユースの個室で夕食。スーパーで買ったおかずと野菜。今日はフィンランドビールもつけちゃいました。



posted by Toki Tsuboi | 20:23 | フィンランド | comments(0) | trackbacks(0) |
バスは止まってくれない?
午前中かけてゆっくり教会を見学したあと、街へ向かうバスを待つ。
このあたりは約1時間に1本のペースでバスが来る。

入り口で教会の見学を申し入れたときに受付の女性から
帰りのバスには注意したほうがよいとのアドバイスをもらった。

なぜかと言えば、バスは時刻表どおりには来ないという。
定刻の15分前には行っていないと、時間前に行ってしまうことも多いのだとか。

バスの時刻表を確認し、受付の女性にお礼を言ってから
念には念を入れて、早めに行ってバスを待つことに。造りつけのベンチに腰掛けた。

時間近くになり向こうからバスがやってきた。
荷物を持ってからゆっくり立ち上がろうとしたその瞬間・・。
バスは私たちの存在を無視してブレ−キもかけずにそのまま逃走〜(泣)

日本では間違いなく止まってくれるので完全に油断していた・・。
乗る意思をしっかり示さないと止まってくれない。
バスの後ろ姿がこれほど恨めしく思ったことはない。

あと1時間、ここで待つしかないのだろう。
昼休みで外に出てきた受付の女性と目があった・・。

「もしかして乗り遅れたの?」と言うような顔で
こちらを見てニコリと笑った。


posted by Toki Tsuboi | 20:05 | フィンランド | comments(0) | trackbacks(0) |
ヴォクセンニスカ教会
 イマトラはロシアとの国境にある小さな街。

ここにアルヴァ・アアルトが設計したヴォクセンニスカ教会がある。

非対称の有機的な外観。天高くそびえる白い塔が天と誓いを交わしているように見える。

入り口をくぐると内部には直線のない祠のような空間がポッカリと口を開けている。

奥にある祭壇には3本の白い十字架がひっそりと佇んでいる。

この教会は別名「3つの十字架のある教会」というそうだ。

天窓から入る光が曲面の壁を伝い、祭壇をやわらかく包み込む。

モニュメントとしての教会建築。

建築は使われる用途や機能性という枠を超えて

人の精神の支えとなるような大きな力をもつときがある。

この美しい彫刻のような建築は、この街に住む人々の誇りであり、

心の拠り所となるモニュメントとしてここにあり続けるであろうことを確信した。


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教会のまわりにはかわいらしいキノコがたくさん!
地元の人に聞くと、炒めて食べるとおいしいと勧める人もいれば・・。当たるからヤメろという人も・・。
考えた末、やはり食べるのは見送りました・・(笑)


posted by Toki Tsuboi | 09:06 | フィンランド | comments(0) | trackbacks(0) |
翌朝の風景

朝は気持ちよく目が覚めた。

朝食の前に湖の周辺を散策してみる。

外へ出ると夏でも朝の風は少し肌寒い。

雲ひとつない青空。太陽を近くに感じる。

ほのかに漂う森の香り。静かに聞こえる風の音

深呼吸をすると、身体の中の何かが満たされていく。

湖の対岸まで視界がまっすぐと抜ける。

向こう岸の人の声まで聞こえてきそうだ。

空と湖の境には同じ色の世界があることを知った。

この旅で私の心に残る風景の1つになった。

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イマトラ湖3.jpgイマトラ湖2.jpgイマトラ湖4.jpg


posted by Toki Tsuboi | 21:59 | フィンランド | comments(0) | trackbacks(0) |
イマトラ
ヘルシンキから特急列車に乗って3時間。イマトラという田舎町にやってきた。

これから約1週間フィンランド国内を鉄道で周遊する。

はじめにイマトラにやってきたのはこの町にある教会がお目当て。

夕方になってイマトラのユースホステルに到着。

森の中のコテージという感じの白くてかわいらしい建物だ。

目の前には北欧らしい森と湖が広がっている。

波一つない水面に夕日の光が反射し、その美しい風景にしばし言葉を失う。

サウナ小屋から出てきた1人の老人が湖の中にゆっくりと身を沈めると

小さな波紋が沖へと静かに広がっていった。

明日の朝早起きして、この湖の周りを散策したい衝動に駆られる。

とりあえず本格的な行動は明日からにして、

今日はこのままゆっくりと身体を休めることにしよう。


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コテージのようなユースホステル
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湖に夕日が反射してとても幻想的。
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サウナ小屋から直接湖に入ることができるが・・私はひとまず遠慮する。
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ユースのラウンジで夕食。今日はヘルシンキで買ったお弁当。


posted by Toki Tsuboi | 20:05 | フィンランド | comments(2) | trackbacks(0) |
鉄道で行く旅

いよいよヘルシンキを離れ、鉄道に乗ってフィンランド郊外を周る旅へ。

鉄道の旅は移動距離も長く、次の街まで数時間かかるということもしばしば。
欧州は地続きになっているので一部の国を除いて入国審査もほとんどない。
電車での移動中に国が変わっているというのはとても不思議な感じだった。

そのような事情から、日本を発つ前にユーレイルパスを購入した。
ユーレイルパスとは欧州のどの国でも使える鉄道フリーパスのことで、
1等車両と2等車両で値段もかなり違いがある。

どちらか好きなほうを選べるかと思いきや、
28歳をこえると1等車のパスしか買うことができないらしい。
私たちは30代だったため、必然的に1等車のパスを買うことに。

1等車にはゆったりとしたシートで乗っている人はビジネスマンか中高年の旅行者が多い。
落ち着いた雰囲気のカフェやレストランもあり、コーヒーの無料サービスや
ひざ掛けなども用意されているのでかなり快適。

しかしTシャツ姿でバックパックを背負った私たちは1等車の中ではかなり浮いている。
座席に座ると車掌さんからチケットをのチェックを求められるハメに・・(苦笑)

駅には改札口はなく、いきなりプラットフォームに入れる。
チケットは持っていることが前提なので、そこのチェックは必要ないのだろう。
実は後で知ったことだが、欧州で無賃乗車をすると大変なコトになるらしい。

ある日電車に乗っていたら、隣りの車両に乗っていた男性がいきなり車掌に首をつかまれ
ホームに放り出されていた・・。男は駅員に食ってかかっていたが、数人の駅員に取り抑えられて
上半身ハダカにされるわ、催涙スプレーを顔にかけられるわ etc・・
うっかりチケットをなくしたりしたら・・想像すると本当に恐ろしい〜。

電車の中は振動も少なくかなり静か。窓から見える風景を眺めながら
いろいろ想像を巡らせる時間は楽しいものだ。

車内放送は一切ないので、目的地は自分で確かめて降りなければならない。
慣れないうちはうかうか寝てもいられないが、慣れてくるとこの突き放した感じが心地よい。

欧州では自己責任という考え方が徹底している。
自分がしっかりしていなくては・・。と、時々不安に感じるけれど、
鉄道で移動する時間も旅の楽しみの1つになった。

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ヘルシンキ中央駅を出発します!
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posted by Toki Tsuboi | 20:22 | フィンランド | comments(0) | trackbacks(0) |
ヘルシンキの人々

1つの街に長い時間滞在すると数日の観光ではわからなかったことがいろいろと見えてくる。
短い時間でもこの街で暮らすことが何となく想像できるようになるから不思議なものだ。

街の大きさもだいたいわかってきたし、乗り物の乗り方や公衆トイレの場所、
トラムが走るルートもきちんと識別できるようになった。食事もあそこの店はおいしいとか、
毎日何かしら新しい発見がある。

街を歩くときも最初はガイドマップが頼りだったけど、次第に人から得られる生の情報が役に立つようになった。
人との接点をもつようになって、人の親切さが身にしみた。

街中で地図を片手に立っていると、必ず誰かに声をかけてくれた。
気がつけばたくさんの人たちが手を差し伸べてくれて、
心細い旅行者にとってこれほどありがたいことはなかった。

観光案内所の受付も、駅の売店のおばちゃんも、みんなとにかく仕事がデキる。
そして街を歩くほとんどの人が母国語のほかに英語が話せるのも驚きだった。

ヘルシンキでは朝8:00ごろから仕事をはじめ、夕方5:00にはだいたい終わる。
おもしろいことに平日にも関わらず、街中でスーツを着た人にはほとんど出会わない。
みんな平服で仕事をしているのだろう。

夏は夕方になるとカフェが人で賑わい、街中はまるで休日のような雰囲気に変わる。
仕事帰りにカフェでお茶して帰る人もいれば、一度家に帰ってから夕食をとり、
再びカフェに戻ってくる人もいる。

ヘルシンキにはアパート住まいの人も多く、西向きの部屋は特に人気が高いらしい。
夏は仕事が終わって家に帰ってくると、バルコニーなどで夕食をとることが多いという。

西向きの部屋は夕方の太陽を楽しめてとてもよい場所になるのだそうだ。
厳しい冬の時期があってこそ、太陽と共に過ごす贅沢な時間。

こういう暮らしをしていると、何だか人生を2度生きているような・・そんな気分になれる。
毎日の生活を存分に楽しむこと。それは彼らにとって当たり前のことのようだった。

この旅で最初に訪れたヘルシンキの街。私たちにとって思い出深い場所になった。
いよいよこの街をを出て、フィンランド各地を巡る旅に出ることにしよう!



posted by Toki Tsuboi | 20:12 | フィンランド | comments(0) | trackbacks(0) |
ポルヴォーの教会
 橋をわたり、石畳の坂を上がっていくと、
街の教会(ポルヴォー大聖堂)が姿をあらわしました。

裾の広いどっしりとした建物。
中世に流行したウーシマータイプという教会様式。

粘土細工のような柔らかな質感のある漆喰壁。
壁の厚さも相当なものです。

ポルヴォーの教会は14世紀にこの街ができてから、幾度となく戦火に見舞われ
消失と修復を繰り返してきた歴史があります。

長いこと戦争によって翻弄されてきたフィンランドの人々。
スウェーデンやロシアの支配下にあった時代もあり、
そのようなご時勢では教会は人々の心の支えだったことでしょう。

ヨーロッパでは教会は街の中心に建っている場合が多く
丘の上から街全体を見渡せるように造られます。
ポルヴォーの教会もそのような意図で建てられたのだろうと想像します。

手作り感あふれるかわいらしい外観と、やさしい光に満ちた内部空間。
この土地の神様がずっと住んできた家です。

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※私たちがこの教会を訪れたわずか半年後、ポルヴォーの教会は火事で消失してしまいました・・。
 現在修復工事が行われているそうです。

posted by Toki Tsuboi | 17:00 | フィンランド | comments(0) | trackbacks(0) |
ポルヴォーの旧市街

 ヘルシンキから高速バスに乗って約1時間半。
世界遺産ポルヴォーの旧市街にやってきました。

ポルヴォーは14世紀から続くフィンランドで2番目に古い街。
バスを降りて周りを見渡すと、町も家も本当に手作り感あふれるものばかり・・。
ゴツゴツとした自然の石畳が荒々しく地面を覆っている。

アルファルトに慣らされていた私たちにとって、この石畳は少々歩きにくいけれど
ゆっくりと地を踏みしめながら歩くのもなかなか楽しい。

旧市街に入る橋を渡ると川辺に寄り添うように建つ赤い木造の倉庫群が見える。
はじめて来た場所なのに、何処かなつかしいような感じがする。
日本でも似たような風景を見たことがあるような気がする。

木造家屋の赤い外壁。これは外壁の板を風雨から守るために塗られた塗料の色。
日本のべんがらに似た鉄分を多く含む自然塗料です。

日本の古い木造建築にも黒い板壁をよく見かけます。
これは外壁の板を保護するために、柿渋に墨を混ぜたものを塗ったもので
木造建築を長持ちさせるための伝統的な知恵です。
北欧の木造建築も日本の木造建築と似ているところがあるように感じます。

北欧では住宅のメンテナンスは住まい手がすべて行います。
足場をかけての外壁の塗りなおしや、簡単な修理などは自分でするのが当たり前。

日曜日になると、ペンキを持ったお父さんやお母さんが、
つなぎを着てペンキを塗りなおしている光景をよくみかけます。
住宅の寿命は住まい手の手の入れ方で大きく変わることをみんな知っています。
自分の家を大切にすることが、自然と町を大切にする意識を生むのでしょう。

橋を渡った先には・・丘に続く坂が見えます。
けっこう急な坂だけど、上には何があるのでしょう・・。
楽しみながらゆっくりと上がっていきます。

(つづく・・)

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川辺の建つ木造の倉庫郡
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歩きづらいけどけっこう楽しい石畳
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旧市街にある木造住宅(秋田の武家屋敷にも似ているなぁ・・)

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あの坂を登ってみよう・・。

posted by Toki Tsuboi | 18:06 | フィンランド | comments(0) | trackbacks(0) |
オタニエミの教会
 ヘルシンキ工科大学の敷地内に有名なオタニエミの教会がある。

フィンランドの数ある教会の中で、この教会ほど詩的な建築もめずらしい。
ヨーロッパにあるほとんどの教会がそうであるように、
石造りで暗く落ち着いた雰囲気をイメージしているとここは明らかに違う。

森の中を歩いていくと、小さくて素朴な木組みの塔が現れる。
建物には斜めから近づくようにアプローチ空間が巧妙に計画されている。
直前に設けられた階段上がると、小さな入り口に導かれる。

中に入ると、薄暗く天井が低い空間が気持ちを落ち着かせてくれる。
その奥すすむと、木製のフレームで造られた開放的な空間に出会う。

フィンランドの伝統的な素材であるレンガと木を使った質素な空間。
上から降り注ぐ間接光と水平に広がる大きな窓。
窓の向こうに白い十字架のモチーフが見える。

冬は雪の十字架を、夏は緑豊かな森の中の十字架が人々の心の拠り所となるのだろう。
この教会には閉じられた内部ではなく、外にある自然そのものが「神」であり、
自然と一体になることで「祈りの場」が成り立っている。

その静かでもの言わぬ空間がとても印象的だった。

オタニエミ教会2.jpg
アプローチ
オタニエミ教会1.jpg
教会の外にある白の十字架
オタニエミ教会3.jpg
レンガと木で造られた内部

posted by Toki Tsuboi | 20:02 | フィンランド | comments(0) | trackbacks(0) |